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猫ちゃんの子宮蓄膿症

今年も残すところあと3日ですね。

この時期ですので、

避妊手術や去勢手術などの急を要さない手術の予定は入れないようにしていますが、

急ぐ必要のある手術に関してはそうも言っていられません。

1週間ほど前から元気と食欲が低下しているという猫ちゃん、

まだ4歳と若い子ですが子宮蓄膿症と判明しましたので、

手術を行いました。

検査で右の子宮が膿が貯まって腫れていることはわかっていましたが、

お腹を開けてみると膿が貯まっているのはやはり右の子宮だけで、

左側の子宮は正常に近い状態でした。

また手術前の超音波検査でははっきりとわからなかったのですが、

腫れている子宮の一部が破けてお腹の中に膿が少し漏れ出し、

腹膜炎(お腹の中全体の炎症)も起こしている状態でした。

子宮蓄膿症もそうですが、腹膜炎は即生命に直結する一大事です。

腹膜炎の場合、食欲が全く無くなり、

何度も吐く・元気がなくグッタリしているなどの明らかにおかしい状態になることが通常ですが、

猫ちゃんの場合、腹膜炎を起こしていてもある程度食欲があったり、

比較的元気があったりすることがあります。

以前にも腸に穴が開いているのに、

食事をそれなりに食べていた猫ちゃんを見たことがあります。

(ワンちゃんの場合そうはいきませんし、人間だったらきっと七転八倒の悶絶でしょう)

この猫ちゃんの場合、少し前から子宮に異常が出ており、

それが1週間前に子宮が破れて腹膜炎を起こし、

食欲・元気がなくなってきていたと思われます。

腹膜炎の影響で膀胱の根元・子宮・尿管が癒着していたため、

癒着を慎重にはがして子宮を摘出し、お腹の中の洗浄をして手術を終了しました。

現在は入院中ですが体調はかなり改善していますので、

このまま年内に退院できそうです。

恐らくこの猫ちゃんが当院での2014年最後の手術になりそうです。

(異物誤食の可能性がある猫ちゃんの胃カメラ検査を行う予定があり、

その結果次第ではその子が今年最後の開腹手術になる可能性がありますが・・・)

もう年末年始のお休みに入っている方も多いかと思います。

人間も動物も何事も無く平穏な年末年始になるといいですね。