一般内科・外科・予防獣医療はもちろん、救急・腫瘍・血液疾患・免疫疾患

栄養補給のための管

お盆ですがどこへ行くにも混雑している上、暑さが厳しいので、

当院は休みを取らず通常通り診察を行っています。

体調に異常があればすぐにご来院下さい。

でも病院は行かずに済むことが一番ですね(笑)

 

 

先日ノドに管が入っている猫ちゃんの動画を載せましたが、

ノド以外にも鼻や胃、腸に管を入れて

栄養を取らせるようにすることがあります。

 

鼻の場合、1分ほどで終わる処置で、

鼻に垂らす局所麻酔薬を使用するだけなので

簡便という大きなメリットがありますが、

細い管しか入らないため液体以外の食事が与えにくく、

鼻に違和感がある、管が抜けやすい、

などの問題があります。

 

ノドや胃の管の場合、

全身麻酔をかけないとできないというデメリットがありますが、

通常処置は短時間で終わりますし、管が抜けにくい、

何より動物が気にしない、という大きなメリットがあります。

胃の管も通常は内視鏡(胃カメラ)で設置できるため、

動物が痛い思いをすることはありません。

また太い管を入れられるので(とくに胃の場合)、

食事もペースト状のものが利用できます。

ただし1度胃の管を設置したら、最低1ヶ月は抜くことができません。

 

食欲の無い子に口から無理やり食事をとらせるのは、

動物にとっても飼い主さんにとっても大きなストレスになりますので、

その子にあった方法で食事をとらせる手段を考えていく必要があります。

 

どこに管を入れても通常は自由に歩き回る生活を送ることができますので、

病気が長引く場合には栄養を取らせる選択肢の一つとして考えてあげてください。

投薬も簡単ですし、注射や通院の回数を減らすことができます。

 

とくに猫ちゃんの場合、おおもとの病気がなんであれ、

食欲不振が続くと肝臓が悪くなってしまうことがありますので、

当院ではそのような猫ちゃんには管を使っての栄養補給を提案しています。

 

また進行した悪性腫瘍(がん)や慢性腎不全など、

完治が難しい病気で食欲がない場合でも、

管を使って栄養を取らせることにより、

また体の脱水を改善させることにより、

穏やかな生活を送りやすくなります。

 

去年亡くなった当院の2代目看板猫ボタンエビも、

亡くなる1ヶ月ほど前からノドに管を入れて院内を歩き回っていましたが、

嫌いな注射の回数が減って、ストレスが少なそうでした。

 
 
 
 
 

 
上の写真はノドに管が入っていた猫ちゃんです。


ノドの管は不要になればそのまま抜くだけです。


管が入っていた傷はすぐに塞がります。
 
 
 

 
慢性腎不全による食欲不振のため、


ノドに管を入れていた猫ちゃんです。


この子は亡くなるまで管を入れて生活していましたが、
 
い主さんも頑張ってくれたため、


最後まで穏やかな様子でした。


管はこの猫ちゃんのようにマフラーなどで隠すと見た目では全くわかりません。
 
 
 

 
胃に管が入っている猫ちゃんです。
 
洋服で隠しているためわかりにくい写真ですが、
 
お腹の横から胃の中まで管が続いています。
 
この子は鼻と食道に問題があったため胃に管を入れましたが、
 
今は病気も完治し、管も抜けて元気に生活しています。
 
 
 

 
上の写真と同じ猫ちゃんですが、
 
1ヵ月半ほど経ち、
 
胃の管を抜いた様子です。
 
小さな穴が開いていますが、2~3日で自然に塞がります
 
 
 

 

 
この子は胃捻転の治療のため、胃に管を入れて胃の固定を行いました。

左後ろ足の付け根あたりに白い管が見えます。

この写真、実は口にボールを加えてボール遊びをしているところです。

管が入っていても、比較的自由な生活が送れます。

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