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形成外科~外陰部形成不全・尿膣症~

5月23日(水)・6月14日(木)は臨時休診になりますので、

ご注意ください。

 

今日は形成外科の話。

写真1枚目は、

大型犬の女の子で時々見られる外陰部形成不全(外陰部低形成)というものです。

小型犬でも起きることはありますが、ほとんどは大型犬です。

外陰部が皮膚のしわの奥に隠れてしまう状態です。

 

写真2枚目は正常なワンちゃんの外陰部。

写真1枚目と比べると、外陰部が外に出ていることがわかるかと思いますが、これが正常です。

外陰部が皮膚のしわの奥に隠れてしまうと、

皮膚炎を起こしやすくなりますが、

もっとも問題になるのが尿失禁と膀胱炎です。

外陰部の形態から、

排尿をしても尿が外に出切らずに膣内にたまってしまい

(尿膣症)、

そのせいで尿漏れが起き

(膣にたまっている尿がポタポタ漏れてしまう)、

またそこから細菌感染を起こして膀胱炎を繰り返しやすくなります。

治療は皮膚のしわを切除して縫合するだけです。

逆に言えば、薬での管理は困難です。

写真3枚目が手術直後の写真で、

外陰部が外に出てきているのがわかるかと思います

(写真1枚目の子と同じ子です)

この手術で膀胱の感染症に悩まされたワンちゃんの84~100%が改善する、

というデータがあります。

形成外科といっても単純に見た目を治療するわけではなく、

皮膚炎や膀胱炎・尿漏れなどのトラブルを解消するための手術になります。

今回のこの手術で、

このワンちゃんの繰り返す膀胱炎もきっと治ってくれると思います。