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門脈シャント

今週7月15日(木)、
再来週の7月28日(水)
終日休診となりますので
ご了承ください。
なお、祝日移動のため、
7月22日(木・祝)・23日(金・祝)は午前のみの診察となりますので
ご注意ください。
 
目が見えない・ふらふらする、
ということで来院したポメラニアンの女の子。
先天性門脈シャント(門脈体循環シャント)といわれる、
生まれつきの血管の走行異常でした。
胃腸から肝臓へ繋がる門脈という血管の途中に
バイパス(ショートカット)血管が出来てしまい、
心臓に繋がる後大静脈という太い静脈に門脈という血管が
直接繋がってしまう異常です。
(正常:胃腸→門脈→肝臓→心臓、という血液の流れ。
異常:胃腸→心臓、という血液の流れ。)
 
腸から吸収された栄養を肝臓で利用することができず、
また腸から吸収された毒素を肝臓で解毒することもできず、
栄養不良になったり毒素が全身に回って体調が悪くなってしまいます。
ポメちゃん、
シャント血管(バイパス血管)を縛る手術を行い、
動画のように元気になってくれて、
しっかり目も見えるようになっています。
 
この門脈シャント、
典型的なパターンとしては、
若くて何となく発育が悪く痩せている子は疑ってかかる、
という印象があるのですが、
このポメちゃんは2歳半まで全く症状がなく、
主治医である自分自身、目が見えにくくなってきた、
という症状が出るまで全く気付いていませんでした・・・。
また、この門脈シャントという病気がつい最近見つかった
1歳半の元気いっぱい・筋骨隆々のビションフリーゼの子もいました。
痩せている・発育が悪い子、という印象とは全く異なりますので、
注意しないといけないなぁ、と自分自身に言い聞かせています。
 
わんちゃんは先天性の病気が結構あります。
健康でも若いうちに一度しっかりした健康診断を行う方が安心ですね。