もうすぐ6月も終わりですが、
今月は歯の処置が続きました。
とくに猫ちゃんの難治性歯肉口内炎といわれる、
歯茎が真っ赤になって痛くて食事を取れなくなってしまう子に対する
抜歯処置が続きました。
この難治性歯肉口内炎、
基本的には抜歯をしないと治りません。
ステロイド剤の注射が効果的なのですが、
あくまで注射を打った時や飲み薬を飲んでいるときは炎症が抑えられるだけで、
治るわけではありません。
また、ずっと注射・飲み薬を続けていくと副作用が出る可能性もあります。
ですので、抜歯治療が望ましい。
犬歯より奥の歯だけ抜歯すれば治る場合もあれば、
全部の歯を抜かないと治らないケースもあります。
しかし、そこまでやっても痛みが残ってしまうことも残念ながらあります。
そんなにたくさん歯を抜いても大丈夫???
という疑問が当然出てくると思いますが、
殆どの子は翌日には軟らかい食事を取れますし、
歯がなくなっても困ることはあまりありません。
むしろ痛みがなくなるため、食欲が増す・口の臭いが改善される・過剰なよだれが出なくなる、
などの効果が期待できます。
ただし、歯根といわれる歯の根っこを少しでも残してしまうと、
口内炎が改善しないとも言われていますので、慎重に抜歯をしないとなりません。
歯根が残ってしまうのは、
抜歯手技の不手際や
歯が溶けていて歯根だけが歯茎の中に残っている場合
(歯肉で覆われているため、外からは見えない)
などがありますが、
抜歯主義の不手際であれば自分で気づきます。
やっかいなケースが、
後者のもともと歯根だけ残ってしまっている場合です。
見逃さないように歯科用レントゲンで確認しながら抜歯を行います。
当院の場合、
犬歯より奥の歯をすべて抜歯すると、処置にだいたい2時間~2時間半、
全部の歯の抜歯の場合、だいたい3時間くらいかかります。
今月はこの抜歯、前歯・犬歯も含めて全部の歯の抜歯が5件続きました。
6月上旬に抜歯をした猫ちゃんの飼い主さんからは、
「口の痛み・よだれが治まった。
「以前よりも食欲が出て元気、思い切って抜歯して良かった」
との報告を頂きました。
残りの子たちも、もう少しすれば痛みがなくなってくれると思います。
歯科用レントゲンでの確認。 黄色の〇の中の白いものが歯根です。 これが外から肉眼で見るだけではなかなか見つからない・・・
同じ部位のレントゲン。 歯根を抜歯した後ですが、 白い歯根は見えなくなっています。”