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猫ちゃんの咬傷(3)ヘモプラズマ感染症

日曜日は横浜での学会に参加のため、臨時休診とさせて頂きました。

ご不便をおかけしました。

ずいぶん間があいてしまいましたが猫ちゃんの咬傷の影響③です。

咬まれることにより猫のエイズウイルス・白血病ウイルス以外にも

感染してしまう可能性のある怖い伝染病があります。

ヘモプラズマ感染症(マイコプラズマという細菌の仲間の感染)というものです。

(実はまだ経路がはっきりわかっていませんが、

咬傷により感染すると考えられています。)

この細菌の一種に感染すると、貧血を起こしてしまうことがあります。

 

写真の中の赤い丸いものが赤血球というものですが、

その中(黄色で囲った赤血球の中)に紫色の小さな粒が見えますか?

ちょっとピントがあってない写真ですので見づらいかもしれませんが、

これが病原体です。

赤血球にくっつき、その結果赤血球が壊れてしまうため貧血を起こしてしまいます。

外に行く猫ちゃんで貧血が見られる場合、

この感染症も十分疑わなければいけません。

ただし感染していたとしても、

このように血液を顕微鏡で観察してこの病原体が見つからない、

ということもあります。

感染していても30~40%くらいしか検出できない、というデータもあります。

ただ最近は技術の進歩により遺伝子検査でこの細菌の存在を検出できるようになってきていますので、

以前よりも診断しやすくなっています。

 

PCRという遺伝子検査により、

血液を採取することでこの病原体の存在を確認することができます。

この猫ちゃんの場合、(+)になっている2種類のマイコプラズマに感染していました。

また効果のある治療薬もありますので、完治することが十分期待できる病気ですが、

ひどくなってしまうと輸血が必要になったりと治療にも時間がかかり、

生命に関わってくる病気です。

猫ちゃんの発情が始まる時期です。

喧嘩も増えてきますので、猫ちゃんは外に行かないほうが安全ですが、

外に行ってしまう猫ちゃんの場合には、十分気をつけてあげてくださいね。