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胆嚢の病気

来週29日(日)・12月17日(木)は休診となりますので、
ご注意ください。
 
今月は異物の摘出手術が続き、
先月は胆嚢の摘出手術が続きました。
続く時は続く不思議な現象です。
 
胆嚢の病気はワンちゃんで非常に多く、
胆泥症(たんでいしょう)という異常が頻繁に見られ、
胆石や胆嚢粘液嚢腫という異常もみられます。
人間で多い胆管がん・胆嚢がんはあまり多くはありません。
胆石も人間と比べると発生は多くないようです。
 
胆嚢は胆汁というオリーブオイルのような黄色い消化液を
ためている袋状の臓器なのですが、
そのオリーブオイルのような胆汁が泥のようになったり(胆泥症)、
固まってボールみたいになってしまう異常(胆嚢粘液嚢腫)がみられます。
 
これらの異常が原因で胆嚢が破裂したり、
胆管という管に泥状の胆嚢内容物が詰まることがあります。
胆嚢の異常は相当進行するまで無症状なことが多く、
気づかないうちに進行して症状を出し始めた時には重篤な状態になっていることが少なくありません。
 
他方で胆嚢が悪くてもみんながみんな症状が出るわけではなく、
寿命まで何の症状もなく過ごせることも珍しくない。
 
このため治療のタイミングが難しくなりますし、
治療を始める決まった基準があるわけではありません。
 
個人的には胆嚢粘液嚢腫であれば胆嚢の摘出手術を薦めますし、
胆泥症が軽度~中程度であれば経過観察や薬での治療を行うこともあります。
 
ただ薬での治療がそれほど効果的ではないため、
定期チェックをして悪化する場合には胆嚢の摘出手術を考える必要が出てきます。
 
胆嚢が悪くならないような効果的な予防方法ができてくれると嬉しいんですが、
現状ではそうもいかないので、
定期的な健診は行うようにしてあげて下さいね。
こちらにもう少し細かく胆嚢のことを書いています
 

 

胆嚢粘液嚢腫で大きくなっている胆嚢(赤丸)とその影響で薄くなっている肝臓(青線)

胆嚢炎の胆嚢。白黒画像だと炎症がわからないですね・・・

 

胆嚢(赤線)と胆嚢の壁の出血(青線)と胆嚢が破れて漏れ出ている胆嚢内容物(緑線)

摘出した胆嚢

摘出した胆嚢の断面。
オリーブオイル状の胆汁も面影はなく、
どちらかというとイチジクみたいになっています

 

摘出した胆嚢の断面。こちらはお餅というか泥のようになっています