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FIP・猫伝染性腹膜炎

3月9日(土)・10日(日)・23日(土)・24(日)、
学会・講習会参加の為休診となりますので、
ご注意下さい。
 
猫伝染性腹膜炎、FIPとも呼ばれますが、
数年前までは猫ちゃんの不治の病でした。
治らないどころではなく、
急速に進行して生命を落としてしまう猫ちゃんの
怖いウイルス性の伝染病でした。
 
当院でも何度も悔しい思いをしましたが、
近年ではこのFIPも大多数の症例が治るようになってきました。
今年だけでも既に3件、
このFIPの治療を行った猫ちゃんがいますが、
3頭とも順調に回復してきています。
 
FIPウイルスは人には感染しませんが、
いわゆるコロナウイルスであり、
2019年から人間に対して猛威を振るった新型コロナウイルス(covid19)の治療薬の候補として挙げられた薬剤が、
FIPに効果があることがわかり、徐々にFIP治療に用いられるようになってきました。
covid19、人間社会にはどちらかというと負の影響を及ぼしましたが、
猫ちゃん社会では恩恵を受けることになりました。
 
ここ数年で数十頭のFIPの治療を行いましたが、
9割以上の子が完治し、
残念ながら亡くなってしまった子は2頭でした。
重度の貧血でこれは厳しいかな、
と思った子も元気になったり、
脳神経に病変が出て立てなくなったしまった子が走り回れるようになったり、
腎臓に病変が出て腫れ上がってしまった腎臓が治ってきたり、
と大きく大きく変わりました。
 
理想を言えば100%の子が助かるように、
もっと言えばそもそもFIP自体が無くなることが理想ですが、
それでも”あの”FIPが治るようになったというのは、
とてつもなく大きな出来事だと個人的には感じています。
 
慣れないとわかりにくい画像ですが、
画像1枚目はFIPの影響で腫れ上がってボコボコになっている左側の腎臓の超音波検査画像
 
 
画像2枚目は治療後、改善してきている左側の腎臓の超音波画像
 
画像3枚目はFIPの影響で腫れ上がってボコボコになっている右側の腎臓の超音波検査画像
  
画像4枚目は治療後、改善してきている右側の腎臓の超音波画像
 
画像5枚目はPCR検査の結果
腹水や胸水で猫コロナウイルスが陽性となるとほぼ確定診断できます